六甲山に「六甲比命神社」という知る人ぞ知るレアな神社があります。
というのも、神社が好きかつ関西在住で六甲山に慣れ親しんできた人ですらその存在を知らないことがあるほど一般的には馴染みがない神社なのです。
御祭神は瀬織津姫です。
瀬織津姫自体謎が多い神様ですが、なんとこの神社は一説で、瀬織津姫を祀る神社の総本宮だとされているようです。
それだけでもコアな神社好きにはたまらないものですが、実はこの神社は同時に隠れウサギ神社でもあります。
それを知ったからには行かねばならないと思い立って実際に行ってきましたが、この神社はまぁ~変わった場所にあります。
行き方が2通りあるのですが、今回は通称「下りルート」と呼ばれている行き方を紹介していきます。(「上りルート」はこちら)
「下りルート」は、公共交通機関を利用する方にとって一番分かりやすい行き方になっています。
(2021/03/01:公共交通機関を利用の方も「上りルート」をオススメします。)
瀬織津姫と六甲比命神社
ところで、「瀬織津姫」という神様をご存じでしょうか?
瀬織津姫は六甲比命神社の御祭神とされています。
瀬織津姫は、祓戸四神の一柱、つまりは不浄を心身から取り除く祓を司る神、または水(川)の神として知られていますが、実のところその正体は謎に包まれており、色んな説が存在しています。
- 天照大神の荒魂説
- 向津姫説(天照大神の后(きさき)、『ホツマツタヱ』を真とする場合)
- ククリ姫説
- 弁財天説
有名どころの説を挙げるだけでもいくつかあって、個人で独自の意見を述べているものまで含めると、数え切れません。
それは瀬織津姫に関する情報が少ないことに起因しています。
つまりは、分からないことやキチンと調べられていないことが多いために好き勝手言えてしまうということです。
というのも、瀬織津姫に関する記述は『古事記』や『日本書紀』に存在しないからです。
では、何に記述があるのかというと、『大祓祝詞』と『ホツマツタヱ』だけに名前が出てきます。
しかし、『ホツマツタヱ』についてはその記述を真とすると天照大神を男だとする立場になってしまい、それは今昔、色々と不都合なようです。
現在、全国的に瀬織津姫を祭神とする神社はほとんど残されておらず、学会では『ホツマツタヱ』は偽書だとされています。
ただ、そういう謎の多い部分が瀬織津姫の魅力ともなっています。
せっかくですので、瀬織津姫について個人的な見解を少し述べますと、私は「天照大神の荒魂説」を支持しています。
それは、六甲比命神社と縁のある兵庫県西宮市の廣田神社に戦前まではそのような記載があったからですが、長くなるので廣田神社を紹介する機会があればその際にします。
また、映画「君の名は」との関連を指摘する人も多い印象ですが、それは作品中のモチーフが先立っているだけで、新開監督が瀬織津姫を意識したのかは個人的には疑問です。
六甲比命講
公式見解??と言いますか、六甲比命神社には神主がおらず「六甲比命講」という民間団体が手入れしているのですが、その団体(大江幸久氏)は『ホツマツタヱ』を真とし「向津姫説」と「弁財天説」を支持しているようです。
この六甲比命講作成の由緒書によれば、そもそも「六甲山」という山名自体がこの神社をルーツとしている(「向津」=「ムカツ」=「六甲」)ということで、本当に不思議な神社だなぁと思います。
※ただ、これはあくまでも大江氏の説です。
六甲比命神社への行き方(下りルート)
「下りルート」は公共交通機関でお越しになる方にオススメのルートです。
公共交通機関利用の場合、六甲ケーブルと六甲山上バスを利用するのが一般的だと思います。
ちなみに「上りルート」はカンツリーハウス駐車場へ向かい、そこから続く六甲山の上美術館駐車場から行きます。
六甲ケーブルの「六甲山上駅」の案内所でこんな案内を貰いました。
以下からは六甲山上バス停「カンツリーハウス前」を降りて案内通りのルートを進んでいく様子になります。
①バス停降りて、そのまま左方向(バス進路と逆)に進みます。
②すると、横断歩道が見えるので、渡って道なりに進みます。
③少し進んで、「関西大学六甲山荘」の手前を右折。その後直進。
行き辺りになるまでしばらくこんな道を直進します。
周りに何も看板がないので、少し不安になるかもしれません。
④アスファルトが終わるところに山道への入口があります。看板があるので、そこを進みます。
ちょっと不安かもしれませんが、こんな山道を進んでいきます。
人一人が歩けるぐらいの太さですが、山道自体は人が通った跡があるので、なんとか分かります。
おそらく夏場は横の草が伸びて邪魔になっている気がします。
少し歩いていると、大きな岩(仰臥岩)があって、そこの前に案内板があります。
左の道に進みます。
途中、雲ヶ岩というこれまた大きな岩があります。
「法道仙人がこの地で修行中 紫の雲に乗った毘沙門天がこの岩の上に現われたという岩」だそうです。
六甲山はこういう巨石が多いですね。ここまで来たらあとすぐです。
神社の手前に、手すりがなんだか壊れそうな、急な階段があります。
十分足元に注意して降りて下さい。
到着。
途中、本当に着くのか結構ヒヤヒヤしました。
六甲比命神社に参拝
見てわかる通り、本当に小さな神社です。
鈴を振って、靴を脱いで中に入ります。
当然、中も広くありません。数人入れるぐらいです。
お賽銭を入れ、拝みました。
お供え物が所狭しと並んでおり、地元の人に愛されているように思いました。
おお!ウサギが御朱印に描かれています。
これはウサギ神社に間違いありません。
書き置きの御朱印があるので、自分で日付を入れます。
御朱印の説明によると、御神体の磐座(いわくら)がウサギの形をしていることと、日の神に対する月の神ということでウサギを書いてあるそうです。
また、六甲山下の芦屋や神戸の地域は昔は「菟原」と呼ばれていて、「ウ」サギが元々多かった地域なのではないかという推測ができます。
ですので、幻の日本アンゴラウサギが六甲山牧場にいるのも何かウサギと縁があったからかもしれませんね。(六甲山牧場についての記事はこちら。リンク先は私の個人的なサイトになります。)
お言葉に甘えて、餅を頂きました。端っこの方にウサギの置物が供えられているのが見えます。
帰りはそのまま下っても良かったのですが、バスの時間の都合上、来た道を引き返して帰りました。
六甲比命神社に行ってきた感想
そもそも色々な謎の多い六甲比命神社ですが、場所も初めてだと迷ってしまいそうな所にあって、探検してる感が楽しかったです。
今回は、六甲山牧場に行く都合上「上りルート」の景色を紹介することが出来ませんでしたので、またの機会に「上りルート」で参拝したいと思います。
(※2020/10/28追加:「上りルート」の紹介です)
しかし私が思っているよりウサギ神社というのは多く、改めて「ウサギ」という古来より日本で親しまれてきた動物から神社という日本の精神・文化を見直す価値はあるなと再度思いました。
「菟原」を見下ろして、そう思います。
是非六甲山に行く機会があれば立ち寄ってみて下さい。
では、さよなら。
コメント
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